2009年09月23日

ビナBOO

ベトナム情報ガイド『VINABOO』に載っていたブックレビューを紹介します。

ビナBOO

ちなみにこのVINABOOというのは日本語で書かれたフリーペーパーです。

在越の日本人なら『Sketch』と並んで一度は目を通したことがあるはず。

ローカル(いや、ある意味グローバル?笑)な話題ですみません。

昨日のトピックと重なる部分が大きくて、なおかつ共感できることも多かったので紹介します。



『貧困の僻地』 曽野綾子著 新潮社

貧困と格差。

現在日本で騒がれているそれらは、本当に「貧困」や「格差」と言えるのか。


有名作家の著者はカトリック教徒としても知られ、

長年「海外邦人宣教者活動援助後援会(通称JOMAS)」の代表を務めている。

JOMASは海外で働く日本人神父や修道女の活動に対して資金をつけるNGO団体である。

途上国へ援助する時、多くの組織には必ず善人めかした泥棒がいて貴重な寄付金が漏れるので、

JOMASの活動以外には資金を渡さず、援助した事業の完成を確認するため、

著者はほとんどの現場に足を運んでいる。

本著は主にそこでの体験をもとにしたエッセイ集である。


僻地では物資も食料も不足し、まともな医療を受けることは困難で、

その地に住む人々の夢は腹一杯に食べることである。

僻地とはどんな場所であるか、そしてそこでの貧困の実態がどんなものであるかを

筆者は伝えている。


翻って電気、水道、通信、テレビの電波、舗装道路、宅配便や通販のサービスも遍く行き届き、

自動車も電気製品も全国同じような値段で買える日本には僻地と呼べるものは無い。

国民は社会を機能させるために必要な教育も受けている。

急病になっても無料の救急車で運ばれて必要な医療が受けられる。

食べるものもある。

途上国の現実と比べると、本当の格差・貧困とはいえないというのが著者の意見である。


アフリカ諸国の他にもインドやカンボジアなどでのJOMASの医療・教育などの活動を

確かめに行った著者の豊富な体験が綴られている。

70代で松葉杖を突きながら現地に出かける著者の覚悟と、

キッパリとした態度に心を打たれる。


「世間はいい子ばかりでもなければ、人はみな平等ではない。」


それを認識した上で何をなすべきかが大切である

と説く著者の揺るぎない姿勢に勇気づけられる思いだ。

(※VINABOOより転載 長月氏)



「人はみな平等ではない。」という言葉が胸に刺さりませんか?

僕もこちらで生活するようになって、このことを強く意識するようになりました。

日本で暮らしていたときには考えたこともありませんでした。

「人類みな平等」が当たり前だと思っていました。

でも、眼前に広がる光景は、その言葉とは程遠い現実だったのです。


そして、この現実に絶望してしまうのではなく、

この事実を認識した上で、何をなすべきかが大切だという筆者の主張に心から共感します。


貧困の僻地で、彼らは「腹一杯に食べること」を夢に見ています。

かといって物資や食料を支援するだけでは根本的な解決にはならないし、

本当に必要なことは何かを考えた上での支援でなければ無になってしまいます。

おそらく課題は山積みでしょう。


この現実に対して、僕は無関心ではいられません。


比較するのは違うと思いますが、日本に住む私たちはどれだけ可能性に溢れていることでしょう。

子どもの将来がどれだけ無限に広がっていることでしょうか。

そんな子どもたちに、僕は大きな夢を見させてあげたい。


でも、

自分の夢をかなえるだけでいいのでしょうか?

自分ひとりが満たされればそれでいいのでしょうか?

直接的な支援をしてくださいということではありません。

まずは気に掛けるだけでいいんです。

関心を持つだけでいいんです。


たぶん前にも載せましたが、僕の好きな言葉と動画を改めて。


http://www.youtube.com/watch?v=1aWkKw_fO6k


「“愛”の反対は“憎しみ”ではなく“無関心”だ」 byマザー・テレサ



日本の本ってこっちだとなかなか手に入らないんです。

この本読みたいんですけど、今すぐには読めないし、

興味を持ってくれた人がいたらぜひ読んでみてください。

そして、感想教えてください。

そんでもって、ベトナムまで送ってくれちゃったりしたら嬉しいです♪笑


では、サッカー教えに行ってきまーす!



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Posted by masaki at 17:28│Comments(8)Global
この記事へのコメント
う~ん、あれだ、あれ。
そう、そうれなんだ。
はい。

難しいな…

でも雰囲気で、そうだなってなりました。

本は送れませんが。笑
Posted by higashitomomi at 2009年09月23日 20:32
>higashitomomi氏

難しいですよ。
20そこそこの若造に解決できる問題じゃない。
でも、目を背けててもいけないと思うし。

とりあえず、本、期待してます!笑
先生ならきっと送ってくれるでしょう♪
・・とプレッシャーをかけてみる。
Posted by masakimasaki at 2009年09月23日 22:36
動画見ました。
私には弟も妹もいないけど、チームにはたくさん小中高生がいてます。
私が外国にいたということに興味を持ってる彼女たちに今こそいろんなことを伝えられるんじゃないかって思いました。
悲しさを伝えたいんじゃなくて、自分の置かれている状況を感じてほしいです。それこそ彼女たちにとってpeaceとは何か自分で考えるきっかけになればいいです。むしろ、一緒に考えていきたいです。
またおすすめの動画とか本とかあれば教えてください。
Posted by とみー at 2009年09月24日 01:36
>とみー

コメントありがとう!!
この動画、じっーーーんってこない?
特に子どもたちの表情が色んな思い出とリンクするんだよね。
外国を経験しているからこそ伝えられることって絶対にあると思う。
とみーの言うとおり、それは悲しみだけじゃなくて喜びも幸せも全部。
世界にある事実、自分たちの置かれた境遇、そうしたもの全てをリアルとして伝えることって大事だなって思います。それが出来るのはやっぱりそれを肌で感じた人でなければ出来ない。とみーも貴重な一員です。ぜひ伝えてください。

気に入った動画とか本があったら随時報告してくよー
Posted by masakimasaki at 2009年09月24日 11:45
>かといって物資や食料を支援するだけでは根本的な解決にはならないし、
本当に必要なことは何かを考えた上での支援でなければ無になってしまいます。

ジレンマだよね。
援助をすることが援助依存の状況を再生産してしまうことになりはしないか、とか。

結局、その国の人たちの手によって自立していくのが確実なんだよね。
そのためには教育環境を支援するのが最善なんだと思う。それも質の高いやつを。

じゃー俺みたいな学生が行動するとしたら何ができるかといったら、寄付しか思い浮かばないんだけど。。。
Posted by ナユ at 2009年09月24日 17:17
今、思い出したのですが、うちの子が去年学校の自由研究で、
「WFP(国連世界食糧計画)の学校給食プログラム」を取り上げ、色々と調べ学校で発表したことがあります。

子供に大人気のテレビ番組「世界一受けたい授業」で観たのがきっかけでした。だから、ご存知の方も多いと思います。

世界の発展途上国70か国で、2000万人の子供たちに、学校給食を配給するプログラムです。

発展途上国では、子供を学校に行かせることが困難ですが、
学校給食プログラムのいい点は、

・まず、子供が少なくても一日一回は栄養価の高い食事を取ることが出来る。

・親も子供の食事の心配がないので、働かせることより、通学させることを選ぶ。

・空腹が満たされ、児童は学習に専念できるようになる。

・家にいることが当然だとされていた女子にも学習の機会が与えられる。

と一石何鳥にもなりますよね。

その時、これいい!!
って思いました。

これも「寄付」による支援ですが、行き先、寄付金の使われ方が明確なので、
寄付もしやすいと思います。
なにより、子供が大好きな「給食」の話なので、自分達の子供も難しく考えないで、興味を持って考える。

このプログラムをみんなに知ってもらい、学校単位で寄付とかできたらいいなと思います。

もちろんこれで解決できることは、ほんの少しでしょうけど、何かとても身近に感じた支援活動だったので、少しずつでも世界に広がっていけば良いですよね。
Posted by R at 2009年09月24日 19:50
>ナユタ

そうなんだよ。
だから、俺は食料援助っていうよりも「自立支援」って捉え方の方がいいと思う。
受身になったら絶対に自立はありえないし、依存体質は拭えない。

教育を当該国に提供するのはもちろんだけど、先進国の教育を見直すことも必要だと思う。
世の中にこんなにも食べれない人がいるのに、日本にある食料の3分の1が「食べ残し」になるってどういうこと!?こうした現実を知っていれば、少なからず意識の面では変わるでしょ。そういう積み重ねだよね、教育って。

寄付っていうのは直接的な働きかけだけど、俺らができることってそれだけじゃない。
まずは、自分自身が「正しく」知ること。
そして、周りの人にほんの少しでもいいから伝えようとすること。
ナユタも少年サッカー教えてるんだよね?
だったらぜひ彼らにも教えてあげてほしい。
どう教えるかはナユタの「腕」に任せるわw
Posted by masakimasaki at 2009年09月24日 22:58
>Rさん

お子さん、いい研究してますね。
未来のノーベル賞候補としておきましょう(笑)

僕も直接その番組で見たわけではありませんが、そのプログラムについてどこかで聞いたことがあります。良い取り組みですよね。
直接的に「勉強」に投資するのではなく、「食」に目をつけたところがいいなって思います。
食べ物があって当たり前の国に生まれた僕たちにはわかりづらいですが、彼らにとって「食」というのは死活問題で、Rさんがおっしゃるように、その「食」が保障されるのであれば、学校に行かせてもいいかなって親も思いますよね。
発展途上国の抱える問題も考慮した賢いプログラムだと思います。

そして、Rさんの言う「寄付金の使われ方が明確」っていうことがすごく大切だと思います。
僕も一時期、寄付とかしてたんですけど、ニュースとかでそのお金が流用されていたとか取りざたされると、「はぁー何だよ・・・」ってなりますよね。(同じことが財政にも言えます。怒)
だから、こうした具体的な支援には力になりたいなって思いやすいですよね。

“つくば”がこうした支援の先駆けになれば素敵だなって思います。
まずはA小から始まること期待してます。笑
Posted by masakimasaki at 2009年09月24日 23:25
 
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