2009年04月13日

戦争の傷跡

クチ・トンネルもすごかったのですが、

それ以上にインパクトがあったのはその道中で立ち寄った漆塗り工場でした。

日本でも有名な漆塗りですが、こちらの漆もとてもキレイでした。

戦争の傷跡

さすがは同じアジア人。

手先が器用ですね。



さて、何がインパクトがあったかと言いますと・・・


工場の作業員の多くが枯葉剤の影響によって身体に何らかの影響を受けた方々だった

ということです。

戦争の傷跡

クチという地方はホーチミン市から北西約70km、車で約1時間半という場所にあります。

そんなへき地で人目を避けるようにして暮らす彼ら。

中心街にあたるホーチミンでは人口の割にあまり見かけません。

身体的に運動に制約のある彼らは、こうした工場のようなところで

手先を使った単純作業で稼ぐしかないのでしょう。(稼ぐといっても大した給料ではないはずです)

おそらくこの工場はそうした身体障害をもつ労働者を雇っているのだと思います。


この工場では製造工程の見学と同時に漆塗り商品の販売もしています。

考えすぎかもしれませんが、こうした工場を観光ツアーに組み込み販売も行うということは

観光客の同情を誘って販売を促進しようという思惑があるのではないでしょうか。

もちろん、それによって彼らの給与が保障されるならそれでいいと思うのですが、

必ずしもそうであるとは限りません。

裏事情はよくわかりませんが、彼らが利用されているような気がして胸が痛みました。


福祉や社会保障といった制度が十分に整っていないこの国において

健常者と障害者の共生は非常に難しいように思われます。

かの本で「障害はひとつの個性だ」と高らかに語る素晴らしい方がいらっしゃいました。

がしかし、障害を抱えている以上、最低限の保障がなければ生きていくことさえ困難だろうと思います。


戦争の傷跡がいまなお残るこの国だからこそ、そうした制度がいち早く確立されることを心から願います。


戦争の傷跡
ベトナムっぽい風景の作品


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この記事へのコメント
「ベトナム滞在記」というタイトルにふさわしく、そちらで多くのことを学んでいるようでなによりです◎

松野くんがそう感じたのも無理はないでしょうね。

でも、現時点で彼らの生きる術というのが

他に確立されていないというのも現実なんでしょう。


おっしゃるとおり、一日も早く保障制度が整う日が来るのを願うばかりです。



願うことしかできない私は

なんと無力なことか…。


そういえば昨日某テレビ局のある番組で

ベトナムのおばあちゃんに会いに行くというのをやってました。

最近「ベトナム」という単語を耳にする機会が増えた気がします。
Posted by おねぇ at 2009年04月13日 23:38
間近で見ているのに何もできないことの方がよっぽど無力を感じますよ。

自分に何ができるのか・・・

小さなことでもいい。

中田氏に倣って”TAKE ACTION”ですね。
Posted by masakimasaki at 2009年04月14日 02:19
 
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